日本語話者のための英語イントネーション習得法


英語を話すとき、「なんだかカタカナ英語っぽい」「ネイティブっぽく聞こえない」と感じたことはありませんか?その原因の一つに、イントネーション(抑揚)の違いがあります。特に日本語は「ピッチアクセント言語」、英語は「ストレスアクセント言語」であるため、声の高低や強弱の使い方が根本的に異なるのです。
日本語と英語のイントネーションがどう違うのかを知り、それゆえにどういった練習をしたら英語らしいイントネーションを習得できるのかをご紹介いたします。

日本語と英語のイントネーションの違い

普段日本語を話す時にはみなさん自然にやっていることなのであまり気付きませんが、実は日本語はは主に「音の高さ(pitch)」で意味を区別する言語です。たとえば「はし」は、「箸」(高-低)と「橋」(低-高)で意味が変わります。私はカナダで日本語も教えていますが、より自然な日本語を話すためにこの「高低」のイントネーションを必ず導入しますが、英語話者にとって「高低」をを変える、という技は実は結構難しいんです。

また、日本語はひらがなの文字一つがひとつの音節を構成するので、一音一音を比較的均等に発音します。文全体として単調なリズムで「タタタタタター」と話す感じですね。

一方で英語は、「音の強さ(stress)」でリズムを作る言語です。話すときには、単語内のある音節を「強く・長く・はっきり」発音し、その他を弱く・短く・あいまいに発音します。文単位で言うと、ある単語を「強く・長く・はっきり」発音し、他の単語はそれほどでもないーーというリズムをつけるんですね。

ではどこを「強く・長く・はっきり」発音すべきでしょうか。英語では、意味のある情報(内容語)に強いストレスが置かれ、機能語(文法的な役割を果たす語)は比較的弱く発音されるというルールがあります。これが、英語特有の「リズム」と「メロディー」を作り出しているのです。

内容語と機能語:どこにストレスを置くべきか

さて、日本語と英語の文章を読む時に違いがあることは分かりましたね。
では英語の場合、どこをどう強く言えばいいのでしょうか。

その鍵は、「内容語」と「機能語」を見分けるところから始まります。
まず内容語とは「意味を持つ主要な単語」で、強いストレスの対象になります。
・名詞(dog, computer, happiness)
・動詞(go, think, understand)
・形容詞(happy, beautiful, important)
・副詞(quickly, really, always)
言いたい内容を伝えるためには欠かせない語群です。
これらは多くの場合「強く・長く・はっきり」言う傾向があります。それによって「何がどうだよ」という伝えたいメッセージをしっかり相手に伝えるんですね。

次は「機能語」です。機能語とはの文法構造を支える単語」で、大きな意味を持つ単語ではないので通常は弱く発音されます。
・前置詞(at, in, on)
・冠詞(a, an, the)
・代名詞(he, she, it)
・助動詞(can, will, should)
・接続詞(and, but, or)
大事ではないーーーというわけではないんですよ。ただ弱く言っても前後の文法から推測しやすかったり、ちょっと音が聞こえるだけで分かっちゃったりする単語なので、特にしっかり言わなくても大丈夫、ということです。

それでは英語らしいイントネーションを練習してみよう

では実際の文章で練習してみましょう。
初めて練習する場合はとても簡単な文章から始めるのがコツです。難しい単語が入っているだけで、単語を読むことに気を取られすぎて、イントネーションどころではなくなってしまうからです。今回の例文も、とっても簡単な文章にしてみました。

I will go to the supermarket at five.

この文では、“I” “will” “go” “to” “the” “supermarket” “at” “five” という8語がありますが、ストレスを置くのは:

➡️ GO, SUPERMARKET, FIVE

の3つです。これからいわゆる大事な内容を伝える「内容語」なんですね。ではこの3語にアクセントを置き、それ以外を弱く発音しながら読む練習をしてみましょう。

英語らしいイントネーションになります。
念の為に、「一つひとつの単語に同じような長さを持たせた日本語のイントネーションで読んだ」バージョンと、「内容語を『強く・長く・はっきり』読んだ」バージョンを録音してみました。聞き比べながらその違いを分析し、二つ目を真似っこしてみてくださいね。

いかがですか?全然違うでしょう?

私のレッスンではこういった音源を毎週かなりふんだんにお渡しし、真似っこのコツを提示しながらコピーする練習を宿題で出しています。この「シャドーイング」という練習方法は通訳家も取り入れている有名なスピーキングアップ方法で、やり方を間違えなければなんとスピーキングもリスニングも一気に爆上がりするんです!

練習する際に特に気をつけたいのは、以下の3点です。

  1. すべての単語を均等に発音する
    日本語のリズムが影響し、英語でも単語を等間隔・等強度で発音してしまわないように、リズムを意識しましょう。
  2. 機能語を強調しすぎる
    「the」「at」「is」などに不必要にストレスを置いてしまわないよう、できるだけ機能語は速くささっと読む感じでいいですよ。
  3. 全体的に速くなりすぎる
    機能語を速めに言う練習をすると、なんだか全体的にやたらと速く読んでしまっていた!ということもよくあります。ゆっくりするところは思い切ってゆっくり・はっきり、と心がけましょう。

英語らしいイントネーションを習得する3つの自己練習法

毎日少しずつ練習を積み重ねるための練習方法をご紹介しますね。

英語のスピーキングを上げたいなら、もうほんとやっぱりこれしかない!というか、もちろん他のいろいろな学習方法に加えて、ですが、シャドーイングをやらない理由がない!というほど、効果があるんです。
シャドーイングとは、「聞いた英語を1~2語遅れてそっくりそのまままねして発話する練習法」です。重要なのは「意味」より「音」に集中すること。ニュースやドラマなどの自然な英語音声を選び、イントネーション、リズム、ストレスの位置を完全にコピーする意識で練習しましょう。

❗ポイント:モノマネ感覚でやると効果抜群。最初はスピードを落としてOK
📌おすすめ教材:TED Talks、海外のニュース番組(行きたい国や行ったことのある国の番組がいいですね)、Netfliの映画やドラマのセリフ(難しい場合は子供番組がおすすめですよ!)

英語の文章を「意味のまとまり(チャンク)」ごとに区切って読み上げる練習です。チャンクごとに内容語にストレスを置く癖をつけましょう。文法への意識も上がって一石二鳥。

I’m going / to the store / to buy some milk.
✖️ I’m / going / to / the / store / to / buy / some / milk.

❗ポイント:チャンク内のキーワード(内容語)にストレスを、機能語はさらっと。これ、いつも基本ですよね!

英語スピーキングを20年以上教えてきた者としてはやはり、ぜひレッスンで伸ばしてほしいとも思います🤭。
自分で言ってみても「やっぱりどこか違う・・・」となる時もありますね。レッスンではシャドーイングの宿題を出して、どこをどうしたら英語のイントネーションになるかを細かく分析して説明いたします。

自分ではなかなか気づけなかった部分を指摘させていただくのもレッスンです。
具体的に何をどうしたらいいのかわからない状態での独学は、難しいものがありますね。やり方がわかって慣れてきたら、ご自分でも正しい方法でどんどん進めていただけると思いますよ。

まとめ:日本語とは異なる部分を知る

日本語話者が英語らしい話し方を身につけるためには、英語特有のリズム感とイントネーションは日本語とどう違うかを理解し、それを意識した練習を積み重ねることが大切です。文章ごとに「どこにストレスを置くべきか」を意識し、「弱く言うべき語は弱く言う」という練習も重要ですね。

どの言語でもそうですが、その言語っぽく話すには、その言語が話されている感じを「音楽」として感じ取ることができると、少し感覚が掴めるかもしれません。
具体的にどう「音楽」として聞き取っていくかについては、また改めてご紹介しますね。


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