知らないと損?英語瞬発力を劇的にアップさせる練習法


英語を話すとき、「単語を一つひとつ思い出しながら文を作っているから、話すのに時間がかかる…」と感じたことはありませんか?または、「文法はわかるのに、会話になるとうまく言葉が出てこない」という悩みを抱えている方も多いですね。

そんな多くの学習者の皆様に知ってほしいのが、「チャンク(chunk)」という考え方です。
これは、英語を単語ではなく「かたまり(チャンク)」で覚え、使うという方法。第一言語では自然に行っている言語処理の方法を取り入れることで、あなたの英語をもっとスムーズにもっと自然にするとともに、瞬発力もアップしましょう。

チャンク=単語ではなく「まとまり」で覚える

私も自分のレッスンで必ず導入するこの「チャンク (cunk)」という言葉はもともと「かたまり」という意味があります。例えばCampbelle’s soupの “Chunky Clam Chowder” には、通常よりも「大きめのかたまりのジャガイモ」がごろごろ入っています。

そして英語スピーキングの学習で取り入れる「チャンク」とは、3〜5語程度の単語のかたまりという意味で使っています。

単語単位で覚えるのではなく、「よく一緒に使われる表現」「文の一部になるかたまり」をそのまま覚えて使うのがチャンク学習です。

チャンク意味用例
at the moment今のところ、ちょうど今I’m not busy at the moment.
would you like to~しませんかWould you like to join us?
on the other hand一方でOn the other hand, it’s a bit expensive.
as far as I know私の知る限りではAs far as I know, he lives in Toronto.

これらの表現を「at」「the」「moment」と一語ずつ処理していると、スピーキング中にスピードが落ち、文が途切れてしまいますね。「at the moment」で一つの意味のかたまりとして処理すれば、口からスッと出せるようになるのです。

なぜチャンク学習でスピーキングが上達しやすいのか

まず、最大のメリットは「処理スピードの向上」です。私たちは「バラバラの情報」よりも「まとまった情報」を処理する方が得意です。これは英語学習でも同じで、単語単位ではなく「意味のあるまとまり=チャンク」として扱うことで、脳の負担が減り、反応速度が格段に上がるのです。

たとえば、次の文を見てください:

I don’t know what to say.(何を言えばいいのか分からない)

この文を「I / don’t / know / what / to / say」と6つの単語として意識しながら話すと、言葉が出るまでに時間がかかります。
でも「I don’t know what to say」を一つのチャンクとして口にできれば、まるで日本語の「どうしよう…」のように、スッと自然に言えるようになります。まるで【6語を1語のように】言う、というのがチャンク学習法なのです。

ちなみにリスニングでもチャンク単位で理解することが多いので、チャンク学習法はスピーキングだけではなく聞き取りアップも期待できる優れものなんですよ。

チャンクで英語を学ぶことは、よく使われている自然な言い回しをそのままコピーすることでもあります。
たとえば「一緒に夕飯を食べに行こう」と言いたいとき、「Let’s go to eat dinner.」と言ってしまいがちです。
文法的には間違っていませんが、自然な表現は:

Let’s go out for dinner.

あるいはもっと柔らかく言うなら:

I feel like going out for dinner.

このようなチャンクを知っていれば、日本語から翻訳した不自然な表現を避け、より通じる英語が話せるようになります。
つまり、チャンクは「文法的に正しい英語」から「感覚的に通じる英語」へのステップでもあるのです。

英語を話すときに「時制は?」「この動詞の後にto?それともing?」などといちいち考えていると、正直会話のテンポが止まってしまいます。では文法を考えずに単語の羅列を投げつければ良いか、というと、それだとスピーキングのレベルが下がり、意味も通じにくくなってしまいます。

チャンク学習法は「文法を無視しても良い」と言っているのではありません。
ここ、間違えないでくださいね。

むしろ、「文法は【1回考えて納得したらもう戻る必要はない】」という考え方です。

チャンクで覚える際にすでに文法がパッケージ化されているので、覚える際に文法をきちんと理解して、そのままの表現を覚え込みましょう。どうしてそういった文章になるのかを文法的に一度チェックして理解したら、二回目からは文法をいちいち考えなくてもそのチャンクをそのままスピーディに口から出せば良いのです。文法をいちいち組み立てる必要がありません。

単語で考えるチャンクで言える
I / look / forward / to / meet / youI’m looking forward to meeting you
Can / you / tell / me / where / is / the / stationCan you tell me where the station is?

チャンクで話すと、「文法的に正しい表現」をそのまま出力できるため、ミスも減り自信を持って話せるようになります。これはまるで、ブロックを組み立てるように会話を構築できる感覚です。1つ1つの文法を自作するのではなく、「完成した部品=チャンク」をつなげていくだけで、しっかりした英語の文章が完成します。

第一言語で話す時多くの場合、実はチャンクを使って会話しているのをご存知ですか?
例えば「おいしそう!食べたい!」という表現。
おいしいという形容詞の「い」を取って「〜そう」をつける+食べますという動詞の「ます」を取って「〜たい」’をつける・・・といった文法をいちいち考えているわけではありません。【形容詞+〜そう】のチャンク表現となると、「おいしい」や「怖い」「高い」などが日常生活よく使われるものなので、「おいしそう」「怖そう」「高そう」といった表現はこのままチャンクとして頭に入っています。

英語もまったく同じで、「意味を考えるより先に、場面で使えるフレーズ」として口から出る状態を目指すのがチャンク学習法です。

どうやってチャンクを見つける?

映画やドラマの中で、この言い方、よく聞くな」と思った表現はチャンクの可能性大です。そのまま覚えてしまいましょう。

  • Let me think about it.(ちょっと考えさせて)
  • That sounds like a good idea.(それ、いい考えだね)

英語では、前置詞(in, on, atなど)+名詞が一緒に使われることが多いです。単語単位でなく、前置詞ごとチャンク化すると、前置詞の使い分けにも強くなります。

  • in the morning(朝に)
  • at the same time(同時に)
  • on the weekend, over the weekend(週末に)

動詞とその後に来る前置詞や接続詞をセットで覚えるのも有効ですね。

  • look forward to ~ing(~を楽しみにしている)
  • agree with someone(誰かに同意する)
  • talk about something(~について話す)

チャンクを使ったスピーキング練習法

まずは、自分がよく使いそうなチャンクを10~20個集めて、ノートやスマホのメモにまとめておきます。ジャンルごとに分けると便利です(あいづち系、依頼系、感情表現など)。

  • That’s a good question.
  • I’ve never thought about that.
  • Can I ask you something?
  • I totally agree with you.
  • I’m not sure, but…

チャンクを使って短い会話を自分で作って口に出してみましょう。

練習例(テーマ:週末の予定)
A: What are you doing this weekend?
B: I’m not sure at the moment, but I might go hiking.
A: That sounds fun! I’ve always wanted to try that.

※ポイントは、文全体を作ろうとせず、「チャンクを並べる」感覚で話すことです。

英語音声を聞きながら、聞こえたままに声に出す「シャドーイング」を使うと、どこで区切れば自然か、どんなイントネーションで出すのかかが感覚でわかるようになり、体感して口に落とし込めます。
Netflixの英語字幕付き作品や、YouTubeのネイティブスピーカー動画、英語ポッドキャストなどがおすすめです。

自分でチャンクを集める場合その多くが、上記で紹介したような相槌系や文章の出だし系の表現になるでしょう。
これは英語初級〜初中級の学習者には大変効果的ですが、中上級〜上級を目指す学習者の場合これでは物足りません。
日本からの留学生がカナダで英会話をしている場面によく遭遇しますが、多くの場合「相槌は打てるけど内容が薄い」という問題があります。
中上級〜上級の方へのチャンク学習法は、【中身がある文章をチャンクとして覚える】という方法です。
そういった表現は”I’ve never thought about that.”のようにいつでもどこでも使える、汎用性が高いわけではありません。「このトピックのこういった意見を言う時」だけピンポイントに使えるという表現になってしまいますが、そういった文章を100個、1000個、10000個・・・と地道に増やしていくと、いつの間にか非常に多くのトピックで英語で会話ができる人になります。

私の生徒さんは、中級から脱却できずに悩んでおられる方が多いです。
そこでこの【上級版チャンク学習法】を毎週宿題でしっかり覚えてきてもらいながら、使える表現を確実に積み上げることを目指しています。

チャンク学習法でみなさんもぜひスピーキングの瞬発力を上げてみてくださいね。


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