覚えたはずなのにスピーキングで単語が使えないのはなぜ?


習ったのに使えない…!

使える英単語の数が多ければ、スピーキングも楽しくなります。ボキャブラリービルディングは、英語のテストだけではなくスピーキングの第一歩でもあります。私のレッスンでも必ず導入するボキャブラリーは、重要な土台です。

けれどもそう簡単に覚えられない、という難点もありますね。

私自身、中高の定期考査や、英検や、大学受験など、様々な英語のテストのために単語を覚えようとしてきた一人でもあります。けれども後で振り返ってみると、結局、「覚えたはずなのにスピーキングでほとんど使えていない」ということに気づいたのです。
一言で言うと「もったいない」。習った単語、覚えた単語はできることならスピーキングの時に使いたいなと思い始めました。

頭の中の「3つの単語ゾーン


自分の生徒にも話すことなのですが、覚えている英単語を私は三つのグループに分けています。「ホワイトゾーン・ブラックゾーン・グレーゾーン」です。
【ホワイトゾーン】:このゾーンに入っている英単語は、「知っているし使える単語」です。とても簡単な日常単語(desk, cat, dog, waterなど)が多いですね。
【ブラックゾーン】:このゾーンには何が入っているか見えないという意味合いで、「知らない単語」のことです。知らないのでもちろん使えないーーというか使わないですね。
【グレーゾーン】:私がいつも授業で取り組むのがこのゾーンの単語です。「知っているけれどほとんど使えない単語」です。テスト勉強で覚えたので、人が言った時にリスニングでは聞き取って理解できるのですが、自分からはなかなか口をついて出てこないーーそいうった単語です。

ではそれぞれのゾーンに入っている単語に、どう働きかけていけば、スピーキングで使えるようになるのでしょうか。以下、私が実践している具体的な指導例です。

【ホワイトゾーン】:既によく知っているしよく使っている単語なので、口をついて出てくるでしょう。このゾーンの単語は、誰にでも伝わりやすいわかりやすい発音で入っているかを再度確認します。
【ブラックゾーン】:知らない単語を、できるだけ知っている単語にするために、ひたすらボキャビルを試みます。初見の発音を正しく導入すると、後で発音を入れ直すという二度手間を省くことができます。
【グレーゾーン】:ここが一番の「掘りどころ」ですね。一度覚えたはずの単語なので、聞くと「あ〜聞いたことある!」「ああ、知ってる知ってる」と意識の上層に上がってきます。これを一つひとつ「使える単語」ーーつまりホワイトゾーンに入れていくのです。やり方を簡単に二つご紹介します。

グレーゾーン単語をホワイトゾーンへ移行する方法


1. 使えるようになりたい単語や表現を入れ込んだ文章を作り、発音に注意しながら何度も言う練習をして落とし込む。
例えば “end up”という表現の場合。そのニュアンスを汲んだ文章をいくつか作ってみて、どういった時にどういったニュアンスを出せるのかを把握します。

「めぐりめぐって結局バンクーバー に住むことになったんだよね」
“I finally ended up [settling in Vancouver].”

「あの人って社長にだってなれる器だよね」
“He could end up as [president].”

「うちの祖父のようにはなりたくない」
“I don’t want to end up [like my grandfather].”

文章を作ってそこで止まってしまってはいけません。スピーキング時に生かしたいのなら、ここまででまだ【4割】。ここから[ ]内を変えながら、バリエーションを増やします。

I finally ended up [settling in Vancouver.]
I finally ended up [teaching Japanese in Canada].など。

そして最後にもう一踏ん張り。
できあがった文章をできるだけ伝わりやすい発音で練習し、口慣らしをします。

2)いつも言っている文章を言い換えてみるときに、グレーゾーンの単語を探ってみる。
例えば “I like it.”の場合。
何かを好きだと述べる時に、”I like it.”以外の言い方がないか探してみます。
今回はGoogle検索で【”I like it” synonym】と打ってみました。そこで出てきたのがーーー

  • I enjoy it.
  • I love it.
  • I am passionate about it.
  • I am fond of it.
  • I am a fan of it.
  • I am interested in it.
  • I am into it.

例えば3つ目の “I’m passionate about it.”に含まれる “passionate”という単語は、おそらく多くの方が知っているけれどなかなか自分から口にしない単語なのではないでしょうか。
こうして、よく言うフレーズの言い換えを探す中で、実はグレーゾーンに入っていた!という単語を探して口慣らし練習をすることで、ホワイトゾーンに入れ込んでいくのです。

今日は、既に覚えている単語をできるだけ使えるようにする方法、について少しお話ししました。次回は、【新しい単語を覚える時、できるだけスピーキングで使えるような覚え方】を一緒に実践してみたいと思います。

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