英語で「服」や「着ること」を表現しようとするとき、日本人学習者がよく間違える単語に「knit」と「wear」があります。勘違いして使っている生徒さんが本当に多いので、こちらで一旦「knit」と「wear」の正しい使い方、そして、「着る」を表す「wear」と「put on」の違いなども詳しくまとめてみたいと思います。ファッションに関する英語を正しく使えるようになれば、留学先や海外旅行でも自信をもって話せますよ!
“knit”(ニット)の使い方
“I’m wearing a knit.”はあまり言わない?
「ニットのセーターを着ている」と表現するときに、非常に多くの生徒さんが言う文章です。けれども英語で「knit」はそもそも「編む」という動詞。たしかに名詞としても使われることはありますが、それはかなり限定的です。
✴️ 正しい言い方:
- ✅ I’m wearing a knit sweater.(ニットのセーターを着ている)
- ✅ She’s wearing a knitted cardigan.(彼女は編まれたカーディガンを着ている)
「knit」は元々動詞なので、
My grandmother knits scarves in the winter.
(祖母は冬になるとマフラーを編みます)
名詞として使う場合、「a knit」と言うと、特定のニット素材の衣類、または編み目そのものを指しますが、ファッション業界の人が雑誌に書くときに使うーーというように、アメリカ英語では非常に限定的な表現のようです。
普通に会話の中でknitを名詞で使っている人はあまりいませんし、「knit」単体では何のアイテムかがわかりません。ニット帽?ニットセーター?ニットパンツ?そのため「knit sweater」や「knit dress」と具体的に言う人が多いです。
「ニット帽」は英語で?
日本語で「ニット帽」というと、冬の防寒用の帽子ですね。うちの母などは昔「ニットかぶっていきなさい!」と言っていましたが、それをそのまま
I’m wearing a knit.
と英語で言ってしまうと、「ニットの【何】を着てるの?」となる曖昧な表現です。
✅ 正しい表現:
・a beanie(アメリカ英語)
・a knit cap / a wool hat(一般的な表現)
・a ski cap(スキー用なら)
そしてカナダに来る予定のある人なら是非是非覚えておいてほしいのが、
・tuque
「トゥーク」といった発音になるのですが、これは【カナダ英語】でのニット帽という言い方。カナダではほぼほぼみなさんこの単語を使っています。もともとはフランス語が由来の言葉のようです。詳しくはこちら、The Canadian Encyclopedia “Tuqueのページをご覧ください。
“wear”(ウエア)の使い方
次に多い間違いがこちら:
❌ I put on a black wear.
「黒い服を着た」という意味で言っているつもりかもしれませんが、この英語は不自然です。
“wear”の意味と使い方
「wear」は基本的に動詞で、「身につける、着る」という意味の動詞です。
She wears jeans almost every day.
(彼女はほぼ毎日ジーンズを履いている)
名詞として使う場合「wear」は通常「clothing」に関連した集合的な表現、あるいは特定用途の服を指します。
✅ 名詞として使う場合の例:
- sportswear(スポーツ用の服)
- formal wear(フォーマルな服装)
- nightwear(寝間着)
これらはすべて、特定の用途を明示する接頭語と一緒に使います。
上述した「knit」を使って、「knitwear」という言葉もありますね。これも「毛糸で編んで作られた服」という集合的な表現となります。
❌ I like simple wear.
✅ I like simple clothes. / I prefer minimalist fashion.
せっかくなので:clothes, clothing, outfitの違い
ざっくりと「服」と言いたいときどの言葉を使えばいいの?と迷う生徒さんも多いので、少しまとめてみました。
clothes: 一般的に「服」
「服」という意味で使うこの言葉は複数形のみ。単数形のclothだと服という意味ではなく「布」という意味になります。
例:My clothes are in the closet.
clothing: 「衣服」少しフォーマル
これは不可算名詞なので、数えることはありません。単数扱いなのでisなどが続きます。
例:Clothing is provided for new workers.
outfit: 「一式の服装コーデ」
上記2つの言葉とは少し意味が異なり、「服」というよりも、その人が着ている上から下までのコーディネーション全体のファッションを指す可算名詞です。
例:She wore a cute outfit to the party.
「服を着る」のwearとput onの違い
「服を着る」→ wear clothes / put on an outfit
となりますが、動詞の「wear」と「put on」にはちょっとした違いもあります。
wear: 「(すでに)身につけている」
着ている状態を表すので、その人を見たときに既にその服を着ている状況を表す時にはwearを使います。
例:She is wearing glasses.(彼女は眼鏡をかけています。)
put on: 「身につけるその動作」
今まさに身につけるところ、という行動を表す言葉です。
例:He puts on a jacket before going out.(彼は出かける前にジャケットを着ます。)
I’m putting on my shoes right now!(今、靴を履いているところです!)
服以外にも使える!ーwearとput onの応用版
実はこの二つの言葉、服だけでなくアクセサリーや帽子はもちろん、「髪型」や「化粧」にも使えるんです!
✅ ポニーテール
She wears her hair in a ponytail.(彼女は髪をポニーテールにしている)
✅ 化粧
She wears light makeup to work.(彼女は仕事には薄化粧をしている)
I’m putting on my makeup.(今メイク中です)
✅ メガネ
He wears glasses all the time.(彼はいつもメガネをかけている)
✅ アクセサリー
She wears earrings every day.(彼女は毎日イヤリングをつけています)
She put on her necklace before the party.(彼女はパーティーの前にネックレスをつけた)
このように「wear」と「put on」は、状態と動作を区別するのがポイントです。
服だけでなく、化粧・髪型・アクセサリーなどの表現にも応用できることもわかりましたね。自分の生活に関わる表現でたくさん練習してみましょう!