日本語の「びっくりした!」という言葉は、日常会話で非常に頻繁に使われます。電車で偶然友達に会ったとき、スーパーで野菜の値段が高かったとき、道に迷っていたら急に犬に吠えられたとき…私たちは自然に「えっ!びっくりした!」と口にします。
英語学習者の多くは、これをそのまま “I’m surprised!” と訳して使いがちですが、実際は私たちが思っているほど “I’m surprised” を使いません。ではどうやって「びっくりした」という気持ちを表しているのでしょうか?
そもそもsurprisedってどういう意味?
英語の “surprised” は「驚いた」という意味ですが、その多くは「予想外で意外だった」というニュアンスです。感情としては穏やかで、ポジティブにもネガティブにも使えます。
- I was surprised by the results.(その結果に驚いたよ)
- She looked surprised when I told her the news.(彼女はそのニュースを聞いて驚いていた)
つまり、“surprised” は、「心の中での驚き」を表す言葉であって、日本語の「びっくりした!」のように反射的に叫ぶような言葉ではないことが多いのです。
万能すぎる日本語の「びっくりした!」
ここで重要なのは、日本語の「びっくりした!」は非常に万能で、感情の強弱や種類を細かく分類せずに使われているということです。
- 驚き:びっくりした
- 怒り:びっくりした(=呆れ)
- 恐怖:びっくりした
- 感動:びっくりした
これをすべて “I’m surprised” にしてしまうと、英語としては曖昧すぎて伝わりにくくなるんですね。
“I’m surprised.”ではない「びっくりした!」
では日本語話者の私たちが思わず「びっくりした!」と言いたくなるような状況をいくつか挙げ、それぞれに合った英語表現を紹介します。
街で偶然友達に会ったときの「びっくりした!」
「うわ!びっくりした!こんなところで会うなんて!」
- What a coincidence!
- Fancy seeing you here!
- I didn’t expect to see you here.
この場合、驚きというより「偶然性」「意外性」に焦点があるため、“surprised” ではなく “What a coincidence!”(なんて偶然!)のような表現が自然です。「びっくりした!」というより、「会えてうれしい!」というポジティブな驚きを表すことが多いです。
値札を見て「高っ!びっくりした!」
「えっ、これで5,000円!?高っ、びっくりした…」
- That’s expensive!
- That’s way too much!
- Are you serious?
このような金額に対する「驚き」は、英語では “surprised” よりも、“expensive” や “too much” のように、それをそのまま表現する単語と同時に、「不満」「呆れ」を含んだリアクションになります。感情としては、“shocked” や “stunned” を使うこともありますが、普段は “That’s too much!” のような反応が一番自然ですよ。
急に声をかけられて「うわっ、びっくりした!」
「うわっ!突然声かけないでよ、びっくりしたー!」
- You scared me!
- Oh my god!
- Jesus! / Whoa!
反射的に驚いて体が反応してしまうタイプの「びっくり」は、英語では “You scared me!”(驚かさないでよ!)のように、“scare” を使います。映画の怖いシーンやホラーでも同じ表現が使われます。
テストが簡単で「びっくりした!」
「簡単すぎてびっくりした〜」
- That was easier than I expected.
- I thought it would be harder.
この場合“surprised” を使っても通じますが、具体的に「期待とのギャップ」を説明する形で話すのが自然です。つまり、”easier than I expected”(予想より簡単だった)という表現が一般的ですね。
人の行動に驚いた「まさかそんなことをするなんて!」
「まさか彼がそんなことをするなんて、びっくり!」
- I couldn’t believe he did that.
- I was shocked.
- That was unexpected.
このような「裏切り」や「信じられない行動」に対する驚きは、“surprised” より強い感情を表す “shocked” や “couldn’t believe” がぴったりです。感情の強さに応じて単語を変えましょう!
英語の万能単語:upset
今日の記事で一番強調したいのが実はこれ。英語の”upset”という単語の万能さです。
辞書にも多くの意味が出てきますが、最初に出てくるのが「動揺して」「取り乱して」なので、そういったイメージで覚えている単語かもしれませんね。けれども英語では「びっくりして心が乱れている」状態も含まれるんです。
- She looked upset after the phone call.(電話の後、彼女は動揺しているようだった)
- I was really upset when I heard the news.(その知らせを聞いて、すごく動揺した)
つまり、「驚き+混乱」の感情は “upset” で表現されることもあるのです。
日本語では「びっくりした」「感動した」「切なくなった」など、便利な感情ラベルで一括処理して話す傾向がありますが、英語ではその感情を「なぜ」「どのように」感じたのかを具体的に説明するのが特徴かもしれません。
例えば、「昨日トムから電話かかってきて、びっくりしたんだよね」を “I was surprised to receive a call from Tom yesterday.”では、【どうしてびっくりしたのか(なぜ)】が伝わりにくいので、聞いていてふわっと理解できない種が残ります。
一方英語だと “I got an unexpected call from Tom.”のように、予期しない電話だった(からびっくりした)の部分を説明する方が自然です。
一言「びっくりした」だけで済ませず、できるだけ具体的に説明する意識を育んでいくと、より自然な英語の表現になりますよ。