英語の使役動詞とは、「誰かに何かをさせる」という意味を表す動詞のこと。英語には主にmake、have、letの3つの使役動詞がありますが、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。この違いを理解するのは難しいのですが、私はいつも、みんなが知っているドラえもんのキャラクターの性格と結び付けて説明しています。これで使役動詞もすんなり使えるようになるはずです!
Make:「ジャイアン動詞」- 強制的にさせる
まず最初に紹介するのは「make」です。これを私は「ジャイアン動詞」と呼んでいます。
ジャイアンといえば「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」という名言でおなじみですが、常に力ずくで他の人に自分の要求を押し付けますよね。のび太にリサイタルを聞かせるときも、野球に参加させるときも、相手が嫌がっているかどうかはお構いなし。とにかく強制的に自分の思い通りにさせようとします。
「make」もまさにこの通りで、相手がやりたくないことでも強制的にやらせるときに使います。相手の意思や感情は関係ありません。力や権威、状況によって、相手に選択の余地を与えずに行動させるのです。
使役動詞makeの基本構文
基本構文:make + 人 + 動詞の原形
例文1: My mother made me clean my room. (母親は私に部屋を掃除させました。)
これこそまさにジャイアン的!
子供はやりたくないのに、お母さんが部屋を掃除しなさい!と言って掃除させたのです。
例文2: The teacher made all students stay after school. (先生は全生徒を放課後に残らせました。)
生徒たちが帰りたくても強制的に残らせています。
例文3: The rain made us cancel the picnic. (雨のせいで私たちはピクニックを中止せざるを得ませんでした。)
このように主語が人ではない場合も使えます。この場合は、雨という自然現象が「ジャイアン」の役割を果たしていますね。みんなピクニックに行きたかったのに、雨という状況が強制的にピクニックを中止させたのです。
使役動詞makeのその他便利な構文
make + 人 + 形容詞
例文: The movie made me sad. (その映画は私を悲しくさせました。)
映画の内容が強制的に私の感情を「悲しい」状態にさせたということです。私は別に悲しくなりたかったわけではないので、強制的に、となります。
make + 人 + 名詞
例文: They made him captain of the team. (彼らは彼をチームのキャプテンにしました。)
彼の意思に関係なく(もちろん本人も望んでいたかもしれませんが)、周りの人たちが彼をキャプテンという立場に据えた、というニュアンスが伝わってきます。
日常会話でmakeを使ってみよう!
“What makes you think so?” (なぜそう思うのですか?)
→ 何があなたにそう思わせるのか?
“This music makes me happy.” (この音楽は私を幸せにしてくれます。)
→たとえ悲しい気持ちの時でも、この音楽を聴くと楽しい気持ちにさせられるというニュアンスですね。
“Don’t make me laugh.” (笑わせないで。)
→ 別に笑いたくないのに、衝動的に笑ってしまう、という意味です。
Have:「しずかちゃん動詞」- お願いしてやってもらう
次に紹介するのは「have」で、これを私は「しずかちゃん動詞」と呼んでいます。
しずかちゃんが誰かにお願いをするときは、決して強制的ではありません。「○○してくれる?」「お願い」といった具合に、相手に敬意を示しながらお願いをします。そして相手も彼女の人柄を慕って、喜んでお手伝いをすることが多いですね。
でも結果的には、お願いしたことはやってもらえるんですよね。これがまさに「have」のニュアンスなのです!
「have」は強制的ではないけれど結果的にはやってもらえる、という意味があるので、相手との関係性やサービスとしてやってもらうような場面でよく使われます。
使役動詞haveの基本構文
基本構文:have + 人 + 動詞の原形
例文1: I had my brother help me with homework. (兄に宿題を手伝ってもらいました。)
これは兄にお願いして宿題を手伝ってもらったという意味です。強制的にやらせたのではなく、お願いした結果として手伝ってもらえたのです。
例文2: We had the mechanic fix our car. (整備士に車を修理してもらいました。)
これはサービスとしてやってもらった例ですね。整備士さんにお金を払って、車を修理してもらいました。
例文3: She had her hair cut at the salon. (彼女は美容院で髪を切ってもらいました。)
これも典型的な「have」の使い方です。美容師さんにお願いして(サービスとして)髪を切ってもらったのです。
⭐️このように、haveのニュアンス的には「〜してもらう」という日本語がピッタリくるかもしれません。
使役動詞haveのその他便利な構文
have + もの + 過去分詞
この構文は、「誰かにお願いして、【もの】を【過去分詞】の状態にしてもらう」という意味になります。
例文: I had my watch repaired. (時計を修理してもらいました。)
これは「自分の時計を、修理された、という状態にしてもらった」という意味なので、自然な訳としては「(時計修理屋さんに)時計を修理してもらった」という意味になります。
もちろん、基本構文を使って”I had a watchmaker repair my watch.”とも言えますが、この『もの+過去分詞』の構文にすると、誰が修理したかよりも、「修理してもらった」という結果に焦点が当たるんです。
日常会話でhaveを使ってみよう!
“I had him call me back.” (彼にコールバックしてもらいました。)
“Let’s have dinner together.” (一緒に夕食を取りましょう。)
“I had my phone stolen.” (携帯電話を盗まれました。
Let:「ドラえもん動詞」- 相手のやりたいことを叶えてくれる
最後に紹介するのは「let」。これを「ドラえもん動詞」と呼んでいます。
ドラえもんといえば、『シャララランラ 夢を叶〜えて♪』と、のび太くんの願いを叶えてくれるロボットです。「しずかちゃんと仲良くなりたい」「ジャイアンに仕返ししたい」「宿題を楽に終わらせたい」というのび太くんのお願いを、ドラえもんは四次元ポケットの道具で実現させてくれます。
つまり、ドラえもんは相手(のび太)がやりたがっていることを、制限を取り除いて可能にしてくれるのです。これがまさに「let」のニュアンスなのです!「let」は、相手がやりたがっていることを「させてあげる」「許可する」という意味で使います。相手にはすでにその行動をしたい気持ちがあり、それを阻んでいる理由や制限を主語が取り除いてあげるのです。
使役動詞letの基本構文
基本構文:let + 人 + 動詞の原形
例文1: My parents let me go to the party. (両親は私をパーティーに行かせてくれました。)
私はもともとパーティーに行きたかったのですが両親の許可が必要→そして両親が「行ってもいいよ」と許可してくれた、ということですね。
例文2: The teacher let us leave early. (先生は私たちを早退させてくれました。)
生徒たちは通常は最後まで授業を受ける必要があります。でも生徒は早く帰りたい。そこで先生が特別に「早く帰ってもいいよ」と許可してくれたのです。
例文3: Let me help you with that. (それをお手伝いさせてください。)
この場合は話し手が「手伝いたい」という気持ちを持っていて、相手にその行動を許可してもらうようお願いしています。「(あなたのことを手伝いたいと思う私に)手伝うことを許可してください!」という意味です。
⭐️このように使役動詞letの場合は、日本語にすると「〜させてくれる」というニュアンスになることが多いですね。
日常会話でletを使ってみよう!
“Let me think about it.” (考えさせてください。)
“Don’t let me down.” (私をがっかりさせないで。)
“Let it go.” (もういいよ、忘れよう。)
では練習問題!
問題1:適切な動詞を選んでください
- My boss _____ me work overtime yesterday.
- My friend really liked my car, so I _____ him drive my BWM.
- We _____ a professional take our wedding photos.
- made(ジャイアン) 上司という立場を使って強制的に残業させた。
- let(ドラえもん) 友人が運転したがっていて、それを許可した。
- had(しずかちゃん)プロのカメラマンにお願いしてサービスとして撮影してもらった。
問題2:次の日本語を英語にしてください
- 雨のせいで私たちは家にいなければならなかった。
- 息子にピアノを習わせています。
- 両親は私が夜遅くまで起きていることを許してくれない。
- The rain made us stay home.
- I have my son take piano lessons.
- My parents don’t let me stay up late.
まとめ
いかがでしたか?みんながよく知るドラえもんのキャラクターと結び付けることで、使役動詞の微妙なニュアンスの違いが理解しやすくなったのではないでしょうか?
- Make(ジャイアン動詞):強制的にやらせる
- 相手の意思に関係なく、力や立場、権威で強制するニュアンス
- Have(しずかちゃん動詞):お願いしてやってもらう
- 相手にお願いして、もしくはサービスとして、または好意でやってもらう
- Let(ドラえもん動詞):やりたいことを叶えてくれる
- 相手がすでにやりたがっていることを許可する
文法を文法として学ぶだけでは、「どう使っていいのかあまりピンとこない」ことが多いですよね。同じ使役動詞でも、いつもmakeばかり使っていると、状況によってはおかしなことになる場合も。これらの動詞をそのニュアンスで使い分けられるようになると、相手により伝わりやすくなりますよ。
最後に、これらの動詞は実際に使ってみることが一番の練習になります。日記を英語で書くときや、英会話の練習をするときに、意識的に使役動詞を使ってみてください!