企業がほしい英語スキルをつけるには


留学で身につけるスキル」と「企業がほしいスキル

TOEICで高い点数を持つ社員を雇っていても「英語がきちんと話せる社員がほしい」とおっしゃる企業様は多く、こういった仕事をしているだけに個人的にそういった若者を知らないか?と尋ねられることが多いです。
一方で、海外留学して英語を勉強しようという日本人の多くは、就職の武器にしたい、転職の武器にしたい、とおっしゃいます。

同じ流れに乗っているのに、この両者が出会っても化学反応が起こらないことがあるのはなぜか?

それは、企業側がほしいと思っている英語レベルと、留学生が獲得するスキルにギャップがあるからだと考えています。

「楽しくおしゃべりしたり」
「授業で意見を述べたり」

することと、
「面接で自分をアピールしたり」
「商談で商品を売り込む」

ことは、
日本語でも全然違ったスキルを使ってはいないでしょうか。

英語でもそうだと思います。

なので私は日本人留学生に、「面接で自分をアピールしたり」「商談で商品を売り込む」ような模擬をたくさんたくさんしてもらっているのです。その際も大雑把によくできました、ではなく、できるだけ細かい指導を心がけています。

「英語で商品説明」の指導例

例えばですが、甘さ控えめのチョコレートをカナダ市場に売り込む、という商談プレゼンテーションの際に、生徒が、
『甘さ控えめなので、男性にも人気』
という表現をそのまま英語にして使ってきました。
日本語で確かによく聞く表現かもしれませんね。
けれども英語でそれを聞いた時に私は、「男性がみな甘さ控えめが好き」という前提に基づいた表現はおかしいなと感じました(そして自ずからその逆にある、女性がみな甘いものが好き、という前提にも疑問符が)。カナダのコマーシャルに慣れると、「男性だから…」「女性だから…」という表現がかなりout-of-dateな視点であることがわかります。

他には、コミュニケーションのテンポについても指導をします。
自分たちが売り込みたい商品の説明に必死になるあまり、商談相手の反応をまったく気にしていないことが多いからです。相手は興味を持って聞いているか、実は途中で情報の混乱が生じていないか、説明に飽きてきていないか、など。相手の反応をある程度確かめながら進める、ということも、できるだけ練習させています。

このように模擬をするだけでも、日本語の丸翻訳ではどうしても対応できない側面があることに気づきます。私はこれを、Multicultural Competence=異文化対応能力の一部だと指導しています。つまり企業がすぐに使えると思う英語スキルとは、ただ英語が話せるだけではなく、双方向的な意思疎通をスムーズに作りだし継続できる力、さらにそれが効率的であればなお良しですね。

「英語で面接」の指導例

一方英語で面接練習の際には、

しっかりと人の目を見ながら
はきはきと述べる


ことを指導しています。英語話者の多くは、もともと自然に人の目を見て話すことが多いですし、さらに日本語話者よりもかなり大きな声量で話すので、この2点は徹底して指導をします。

ところが、実はこれだけではまだまだ弱いと思っているのです。

日本人英語話者の多くが英語面接を準備をする際に必要なのは、

自分を客観的に見る力

だと考えています。
人と違う自分だけの特色を見つけよう、というのは簡単なことではありません。「自分だけが持ってるもの」「ユニークな特徴」と考え始めるとなかなか難しいので、大きなことではなく小さなことからよく思い出すように指導します。

例えば、
前職やバイトで自分が言った小さな一言。
思いついた小さな案。
売上アップに貢献したかもしれない小さな行動。
チームの士気を上げようとした小さな言葉。
そういったところから、自分に客観的な価値をつけた自分だけの自己アピール文を導き出すことができます。

できるだけ実践的な教室活動を組み込み、
できるだけわかりやすい指導を心がけ、
英語教育をさらにもう一歩進化させ、
世界に輩出する日本人をもっと増やしていきたいと思うのです。





    PAGE TOP